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『水属性の魔法使い』アニメと原作ラノベの感想、ひどい性格の不殺系主人公

作品の感想

『水属性の魔法使い』は、小説家になろうで連載されTOブックスにて書籍化されたライトノベル。

原作者は「久宝忠」さんで、2020年4月から小説家になろうで連載が開始されました。

コミカライズされており、2025年7月からはアニメも放送されました。

原作ラノベのイラストは、とても美麗で世界観はいい感じです。

『水属性の魔法使い』どんな物語?

いわゆる異世界転生もの。現代で生きていた主人公の「三原 涼」がトラックにひかれて死んでしまう。

死後、天使を名乗る存在から「剣と魔法の世界」への転生をすすめられ、スローライフを希望して転生をすることになる。

主人公の魔法特性は「水」そして隠し属性として「不老」があたえられるのであった。

転生先の世界「ファイ」にて、主人公は自身の魔法技術を鍛えつつ、スローライフを実現するための努力を続ける。

温かい風呂に入るために水属性の魔法でお湯を沸かす方法を考えだしたり、狩りをするために氷の槍を生み出して攻撃に使ったりしながら、徐々に活動範囲を広げていくのであった。

転生してから20年がたったある日、海岸に見慣れぬ船の残骸と打ち上げられた人を発見する。

一人だけ息のあった赤髪の青年「アベル」を助け、彼とともに旅に出ることになる。

スローライフは終わり、主人公の異世界物語がはじまる。

『水属性の魔法使い』の評価・感想

私はこの作品、アニメの最後のほうをたまたま見たところから入りました。

爆炎の魔法使いとかいう勘違い暴走男に仲間を傷つけられた主人公がその男と戦うところが、なかなか面白そうな雰囲気を醸し出していたのをおぼえています。

主人公は周りに何を言われようが、仲間を傷つけた相手を許さずに殺そうとする。そんな、覚悟の決まったキャラクターが主人公なら絶対に面白い物語に違いないと思って、原作を購読したのですが正直微妙でした。

普段でしたら『水属性の魔法使い』という面白さを感じ取れないタイトルの作品はスルーしているところです。

しかし、アニメを見たときの主人公である「リョウ」と爆炎の魔法使い「オスカー」の因縁がどう決着するのか気になって原作を読んでしまった。

Amazonのレビューでは高評価が多くついていました。面白いという意見が数多くありますが、自分にはまったくあわなかった。正直言って読まなければ良かったなと思っています。

原作者はこの物語の中で描きたいこと、やりたいことがたくさんあるのを感じます。ダンジョン、ヴァンパイアの国、浮島、暗殺教団、悪魔、勇者に魔王、たくさんの要素をちりばめていて、それらを後で回収していくのでしょう。

読んでいる側からするとなんだか物語がとっちらかっていて面白くありませんでした。

謎や伏線をちりばめるのは結構ですが、進行中の物語とは関係のない別要素がぽんぽんと出てきてうんざりする。

ずっと先で謎だった登場人物の正体が判明したり、謎が明かされたりしても、その時には「そういえばそんな話あったなぁ」と興味が失せていることがしばしば。

ちりばめられた要素がたくさんあるせいで、なんだかどれもが薄っぺらい。そして続きが気にならない。

ストーリーの展開も場当たり的というか、思いついたから付け足したみたいな展開が多くあります。

悪魔レオノールという女のキャラクターが登場した時は、唐突に登場し敵対して戦闘して、唐突に時間切れとなって帰っていくという脈絡のない展開。

この後の巻でも思い付きで場当たり的に物語を詰め込んでいるのかと思う展開が割とあって、イマイチ物語の世界に浸れない。

しかも悪魔レオノールのキャラクターに愛着でもわいたのか、後のほうの話で主人公にたいして悪魔が力を貸してほしいと頼みに来る始末。

物語の進行中に原作者の影がちらつく文章の構成も多々あってそこに不快感を覚えてしまう。

主人公が現代知識をひけらかす場面も、ラノベ原作者にありがちな自己投影、自身の知識自慢じみた文章が長ったらしくて不愉快と言わざるを得ない。

主人公は物語の中でもかなり強い部類なのに、なぜかだいたい後手にまわってばかり。敵に後れを取ってから動き始めるストーリーのパターンが多いところもなんだか引っかかる部分。

そしてなによりも、主人公の性格が気持ち悪いという部分がこの作品を好きになれない一番の理由だと感じます。

主人公は独り言を言うときでも「丁寧語」で話続けます。一人で魔法の考察やらをしているときも「です・ます」をつけた口調で話すので違和感がすごい。

この点をAmazonのレビューでも言及している人が多くて、低評価をつける人たちは主人公を気持ち悪く感じているようです。

『水属性の魔法使い』の主人公は「三原 涼」という日本人なのですが、前世の記憶はあるのに前世の人間関係はさっぱり言及しませんし、モンスターとの戦闘や解体もすんなりやれる。

そのへんは異世界転生ものですし、お約束として受け入れるしかないでしょう。

ただこの主人公、物事に対して達観しすぎていて、物語の世界に生きている感じがしない。

なんだか、何事にも淡々と対応していくので、主人公に対して全く愛着がわかないのです。

それよりも、主人公とともに旅をすることになった赤髪の剣士「アベル」のほうが主人公っぽい性格をしています。

下の画像、左がアベルで右の黒髪が主人公のリョウです。

アベルは戦いの中で確実に強くなっていきますし、苦悩や仲間たちとの絆も描かれていて、物語世界で生きている一人のキャラクターとして描けているように感じます。

それに比べると、主人公の「リョウ」はなんだか魅力に欠ける。

アベルに対するウザい絡み方も不快ですし、他人へのいじり方がとにかく多い上にしつこい。

そして、なによりも気になる部分が、絶対に「人殺し」をしないところ。

私は『水属性の魔法使い』という作品を初めて見たのがアニメでした。たまたま見たのが主人公が爆炎の魔法使いオスカーと戦っている場面。

仲間を傷つけられ怒り心頭の主人公がオスカーを「殺します」といってアベルのいうことも聞かずに戦い続けようとするシーンを見て「面白そう」と感じました。

やるときは殺る系の主人公なんだと思って原作を読み始めたのですが、原作の小説ではまったく人を殺しません。

しかも、殺さずにいたせいで仲間や他の人たちに多大な被害が出ることが結構ある。あの時きっちり始末しておけばこうはならなかっただろうにという展開が目立ちます。

敵の側は人殺しを目的達成の手段として積極的に行使してくるのですが、主人公が関わる場面ではほとんど人死にが出ることがありません。

それこそ、戦争の最中で敵は本気で殺しに来ているのに主人公は氷の棺に敵を閉じ込めてお終い。

原作者がどうあっても主人公を「人殺し」にしたくないという強い意志を物語の展開から感じ取れます。

原作者にとって大事なキャラクターも死にません。敵に殺されそうになっても「ここで殺すには惜しい、まだ強くなるだろう」みたいな理由で見逃してもらえたり、助けが間に合ったりして死にません。

原作者という存在の「神の見えざる手」が物語の展開に何度も見えてしまうところも『水属性の魔法使い』という作品を好きになれない原因かもしれません。

爆炎の魔法使い「オスカー」との決着も結局オスカーを殺すこともなく倒してお終いでした。

アニメで見たシーンでは覚悟の決まった主人公だと思っていましたが、原作ではまったく覚悟の決まっていない不殺系主人公でがっかり。

帝国との戦争のさなかで、他のキャラクターたちは覚悟を決めて戦争に挑んでいるのに、主人公は「自分がでれば人死にが少なくてすむ」みたいなことを言い出すのでうんざりしました。

本当に最後の最後まで主人公を好きになれずに「第一部 中央諸国編」の終わりまで読んでしまいました。

Amazonの高評価レビューはあてにならない場合もあるということを実感させられる作品。

アニメを見て原作小説の『水属性の魔法使い』が気になるなら、まずは1巻だけ読むことをおすすめします。

文章の構成や主人公の性格などがあわない場合は、読み進めるのが苦痛で仕方ない作品です。

私はこの先の物語を読むことは無いでしょう。たぶん完結したとしても手に取ることはない作品だと感じます。

物語の続きが全く気になりませんし、主人公たちがこれからどうなっていくかも知りたいと思いません。

あわない人にはどこまでもあわない作品です。手に取るときは気を付けることをおすすめします。

アニメ『水属性の魔法使い』の感想

アニメ版の『水属性の魔法使い』は、そこそこ面白いと思いました。

ただ、なろう系の作品なのでどこかで見たことのあるような設定や事件が多く起こります。

ダンジョンがある世界ではお馴染みの、ダンジョンから魔獣があふれてくるイベントや偉い人たちが集まるパーティ会場の襲撃など他作品でよくある展開です。

オープニング曲が独特な歌い方で、まるでパペットスンスンが歌っているかのよう。

鼻の奥から声が抜けるような歌声に最初は「なんだ?この歌は!?」と驚かされました。

しかし、何度も聞いているうちに割と耳に残るメロディーで曲自体は悪くありません。オープニングの映像も、これから異世界での冒険がはじまるぞ、といった雰囲気の絵柄でいいと思います。

キャラデザもグッドで、アベルの冒険者仲間の「リン」という少女や金髪の美女エルフの「セーラ」という見た目も声も可愛らしいキャラクターが登場します。

ただ、主人公の「リョウ」と赤髪の剣士「アベル」以外のキャラクターはイマイチ活躍しません。

せっかくかわいい女の子キャラがいるのに、他の登場人物たちの活躍はパッとせず、正ヒロイン枠の美女エルフの「セーラ」なんて図書館にいるか訓練所にばかりいて物語の主軸には関わりません。

アニメ1期の範囲では、主人公と図書館でイチャイチャしてばかりで、一緒に敵と戦ったり、ピンチになったところで主人公に助けてもらったりはありません。

アベルの冒険者仲間で風魔法使いの「リン」なんて、最初こそ主人公の魔法にたいして突っかかってきますが、いつの間にかトーンダウンして主人公の魔法に対して執着しなくなります。

原作のラノベでも最初の2、3巻あたりではキャラクター紹介に挿絵が使われていましたが、4巻あたりから挿絵は消えて、物語の中でもほとんどモブキャラと同じ程度の活躍になっていきます。

というか、この作品。主人公の「リョウ」と「アベル」の二人のやり取りが多くて、他のキャラクターの掘り下げはイマイチです。

女の子のキャラクターデザインは結構いい感じなのですが、ほとんど出番はありません。モブキャラと同程度のあつかい。

かといって主人公が大活躍するかと言ったら、そうでもありません。アニメで一番活躍しているのは冒険者の「アベル」です。こっちのキャラを主人公にしたほうが絶対に面白かったと思います。

ダンジョンから魔獣があふれ出る「大海嘯(だいかいしょう)」というイベントが起こった時、冒険者たちが必死に迫りくる魔獣たちと戦う中、主人公は図書館で美女エルフとイチャイチャしていました。

アベルたちがピンチになった時に主人公が駆けつけるのかな、と思いましたが、一向に現れません。

大海嘯は主人公不在のまま終結してしまい、主人公はイベント終わりの酒盛りのご相伴にあずかるだけ。

アベルは必死に戦って見せ場を作っていたのに、主人公ときたら図書館で美女とイチャコラしてるだけで話が終わるなんて思いもよらなかった。

その後、ダンジョンの奥で魔王子なる存在によってアベルがピンチになった時には、さすがに主人公の「リョウ」は駆けつけてくれます。

ただ、せっかくの見せ場なのに敵たちは棒立ちのまま主人公の魔法で瞬殺され、魔王子もなんら苦戦することなく瞬殺するのでなんだか盛り上がりに欠けます。

1期のアニメの範囲では一番の見せ場ともいえる場面なのですが、なんだか作画が省エネぎみでパッとしない感じでした。

その後の話でも盛り上がるイベントはほぼ無く、淡々とストーリーが進行していきます。

アニメの最後のほうでは帝国の魔法使い「オスカー」と戦うことになるのですが、主人公もオスカーもお互い沸点低すぎてバカみたいなすれ違いによる殺し合いがはじまります。

主人公のリョウは普段、ひょうひょうとしているのにその時はかなりけんか腰。爆炎の魔法使いオスカーは勘違い野郎で状況判断も全くできておらず、いきなり攻撃してくるのでどうしようもない。

そもそも、この『水属性の魔法使い』という作品、だいたい主人公が駆けつけるのが遅い。

いつも後手に回って、ある程度状況が悪くなってから駆けつけることが多すぎるのが気になるところ。

他のキャラクターがなんとか頑張ってその状況をどうにかしようともがいているなか、後からやってきて状況をパッと解消してしまうため、主人公がいいとこどり。

主人公というよりもお助け解決キャラと言った感じで、主人公としての魅力が薄く感じます。

リョウとオスカーの殺し合いもアベルが身を挺して止めるので、やはりアベルのほうが主人公っぽい。

アニメのリョウとオスカーの戦いを見て「続きが知りたい、どんな決着がつくのか見たい」と思ってラノベ原作を読みましたが、はっきり言って別に読まなくてもよかったと思っています。

「第一部 中央諸国編」の7巻で爆炎の魔法使いオスカーとの決着はつきますが、オスカーを倒すだけで殺すことはしません。

主人公のリョウは、アニメでは仲間を傷つけたオスカーを「では、殺します」みたいに言ってとにかくオスカーを殺そうとしますが、ラノベ原作では殺しはやりません。

原作ラノベでは不自然なくらい不殺を貫きますし、原作者が主人公に殺しをやらせないように環境を整えるので主人公は強敵相手でも基本不殺を貫きます。

あと原作者のネーミングセンスがイマイチ。登場人物が真剣な顔で「爆炎の魔法使い」というワードを言うたびにダサすぎるだろと感じずにはいられません。魔王子とかも、なんかダサいんだよなぁ。

『水属性の魔法使い』のアニメは全体的に盛り上がる場面が少なくて、はっきり言って印象に残るシーンがあんまりないかな。

ながら作業の時に流すにはちょうどいいアニメ作品で、つまらないわけではないけど画面に釘付けになるような面白さもない。

そこそこ面白いアニメでした。2期がやるなら見ようかな、と思えるくらいの作品です。

『水属性の魔法使い』評価・感想まとめ

『水属性の魔法使い』のアニメはそこそこ面白かったのですが、ラノベ原作は正直言って読まなくてよかった。

まさか主人公が、不自然なほどに優遇された「不殺系主人公」だとは思っていませんでした。

主人公のリョウの不自然な喋り方や、アベルに対するウザい絡み方、ところどころで入る現代知識のひけらかし。

原作者の影が文章の端々に見え隠れするせいで、物語の世界に浸れない。

なぜ、この作品がAmazonのレビューで高評価なのかまったくわかりませんでした。

アニメの方は盛り上がりに欠けますが、そこそこ面白いのでアニメから入ったほうがいいでしょう。

原作のラノベはまだ続いているようですが、私はギブアップです。文章の書き方、物語の展開が自分には合いませんでした。

コミカライズ版もあるようですが、原作ストーリーの続きがあまり気にならないので手に取ることはないでしょう。

完結してもたぶん読もうとは思わないかな。人を選ぶ作品だと感じます。

これから『水属性の魔法使い』を読もうかなという場合は、1巻を読んで自分に合いそうか試してから続きを買うことをおすすめします。

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